東京ビッグサイトで開催される「デザインフェスタ」に出店しているFactory antで製作されたアパレルアイテム

既製品を「自分のブランド」へ。オリジナルプリントで理想の1着を形にするための基礎知識

「自分のアパレルブランドを始めてみよう!」「自分のデザインを衣類に落とし込んで販売したい」というアイデアが浮かんだとき、スタート地点になるのは既製品にプリントしたアイテムの製作になるでしょう。

自分のブランドを作る最初の一歩知っておきたい「オリジナルプリント」の種類と選び方

「自分のアパレルブランドを始めてみよう!」「自分のデザインを衣類に落とし込んで販売したい」というアイデアが浮かんだとき、スタート地点になるのは既製品にプリントしたアイテムの製作になるでしょう。

定番のプリントTシャツはもちろん、パーカーやスウェット、ときにはジャケットまで。お気に入りのウェアにデザインをのせてみる「オリジナルプリント」は、アイテム作りの「始めやすくて楽しい第一歩」になります。プリント方法も昔ながらの手刷りから最新のインクジェットプリントまで、その種類はさまざま。

デザインの緻密さや製作する枚数、デザインの色数、仕上がりの質感、そして気になるコスト。これらの条件によって、ベストなプリント加工方法が少しずつ変わってきます。それぞれの特徴をなんとなく知っておくだけでも、理想の「自分のブランド」を作るのにぴったりの方法が見つけやすくなりますよ。まずは基本の知識をさらっと整理してみましょう。

ポップアップ会場で販売されているプリントTシャツ
自分ブランドのスタートは「オリジナルプリント」がはじめやすい

「オリジナルプリント」が自分のブランドを作る「スタート地点」に選ばれる理由

本来、オリジナルのアパレル商品を作るということは、デザインを考えてパターン(型紙)に起こし、サイズやデザインを確認するためにトワル(試作)を作ります。

その後場合に応じてパターンやデザインを調整してようやく量産へと進みます。量産用の生地を準備して完成したパターン通りに裁断し、必要ならパーツごとにプリント加工、その後に縫製をして仕上げ。ようやくオリジナルの商品が完成となります。ひとつの商品を作るのに時間と作業工程がとてもかかります。当然コストもかかってきます。

初めて「自分ブランド」のアパレルを始めようと思っても本来の工程からスタートするのはとても難しいでしょう。もっと気軽に自分のブランドを始めるなら、まずは真っさらなTシャツやパーカー、スウェットなどに自分のオリジナルデザインをのせるところから始めるのがオススメです。質の高いアパレル素材に自分のデザインがプリントされたその瞬間に、ただの無地素材から「自分のブランド」へと変わります。

アパレル製品への「オリジナルプリント」は、あなたのアイデアを最もダイレクトに表現できる方法です。まずはここから、一着の服に命を吹き込む楽しさを知ることから始めてみましょう。

アパレル商品のパーツをパターンからはさみで切り出している
純粋なアパレルブランドを始めるのは、なかなかハードルが高い

プリントの方法で変わる服の表情。定番から最新技術まで、それぞれの「味」を知る

一口に「オリジナルプリント」と言っても、実は複数のプリント方法があります。それぞれに得意な表現があり、仕上がる質感も違ってきます。自分のブランドに最適なアパレルプリントはどれなのか、選ぶ際の参考にしてください。

衣類プリントの「王道」。耐久性と多彩な表現ができる不動のメイン加工方法

使う色ごとに「版」を作り、作るアイテムにプリントする最も伝統的な方法が「スクリーンプリント(シルクプリント)」です。最大のメリットは製作数が多くなったときのコストパフォーマンスと高い耐久性です。仕上がりはアイテムにインクが乗ったハードな質感になります。立体的な「パフ」や「ハイデンシティ」といった特殊プリントからデザインを「網点」にした写真のような表現など、多種多様な加工に対応可能です。いま現在も衣類プリントの王道です。

1.「スクリーンプリント(シルクプリント)」

特徴:シルバーやゴールド、蛍光色、発泡などインクの種類も豊富で多彩な表現が可能。
●仕上がり:アイテムにインクが乗った、しっかりとした「プリント感」が魅力です。
●向き:製作枚数が多いアイテム向き。コストを抑えたい場合にも最適。

網点化したデザインデータをスクリーンプリントで印刷されたレーサーのTシャツ
昔ながらのプリント方法も「網点」で分版すれば写真のようなプリントも可能

アパレル業界の「最新手法」フルカラーで複雑なデザインもきれいに再現

DTF専用のフィルムにプリントし、フィルムにパウダー状の糊をつ、アイテムにデザインを熱で転写する、現在のアパレル業界で最も勢いのある最新手法です。写真やグラデーションなどのフルカラーデザインや細かい表現も1枚からでも実現できます。いろいろな素材をに加工できるのも特徴のひとつで、コットンやポリエステル、ナイロンなどほぼ全ての生地に対応できます。製版作業が必要ないので小〜中ロットのアイテム製作におすすめの加工方法です。

2.「DTFプリント(ダイレクト・トゥ・フィルム)」

●特徴:コットン、ポリエステル、ナイロンと幅広い素材に対応。
●仕上がり:プリント部がツルッとした綺麗な質感になります。
●向き:写真やイラストなど、グラデーションや色数が多いデザイン。

最新のDTFプリンターで作られた魔法少女のイラストをプリントしたアパレルアイテム
最新のDTFプリントはグラデーションを多用したイラストでもきれいに再現

プリント特有の「貼った感」も少なく通気性もよし自然な風合いでヴィンテージ感のある仕上がりに最適

製作するアイテムにガーメントプリンターから直接プリントする加工方法です。デザインデータをアイテムに直接描画するので、繊細なディテールや多色使いが得意です。プリント面の柔らかさも特徴。生地にインクが馴染むので「貼った感」も少なく通気性も比較的損なわれません。基本的にコットン素材がプリントの対象です。自然な風合いやヴィンテージ感のある仕上がりを求める「こだわりの1枚」を作りたい場合におすすめです。

3.「ガーメントプリント(DTG)」

●特徴:製版がいらないので、フルカラーのデザインでも1枚から作れます。
●仕上がり:インクが生地に馴染んだような、柔らかく通気性の良い仕上がりです。
●向き:色数の多い写真、グラデーション、イラストのプリントに最適。

ガーメントプリンターで出力されている写真を使ったデザインのアイドルグッズのTシャツ
DTF以前はフルカラーといえばガーメントプリント。アイテムに直接フルカラープリント

ムラのない均一な仕上がりとシャープな輪郭キラキラ・ギラギラの表現も。インパクトある表現に最適

専用のシートをカットし、熱プレスでアイテムに転写する加工方法です。1枚ごとに名前や数字を変える場合でも比較的コストを抑えて製作できます。「蛍光色」の鮮やかな発色やインクでは再現できない「ラメ」や「箔」といった輝くキラキラした質感を実現できます。生地の色が透けないので、濃い色のウェアでもとても発色が鮮やかでとても綺麗です。細かいデザインや多色を使ったグラデーションはやや苦手。プリント面はゴムのような質感。インパクトが求められる華やかな衣装やロゴデザインが多く入るスポーツウェアやなどに最適。

4.「ラバー転写プリント」

●特徴:キラキラの「ラメ(グリッター)」や鮮やかな「蛍光色」でインクにはできない「派手さ」が表現できます。
●仕上がり:ムラのない均一な仕上がりで、ロゴのエッジがとてもシャープです。
●向き:ユニフォームやインパクト重視の衣装などに。

ラメのラバーシートをスクリーンプリントの複数加工されたTシャツとラバーシートの見本帳
インクでは表現できないキラキラ・ギラギラの派手さが特徴のラバー転写

生地に染めるから、着心地そのまま。通気性が良く、スポーツウェアに理想的な手法です

インクを気化させてポリエステル繊維に「染める」加工方法です。「染め」なのでプリント感がなく、素材の通気性もそのままなのが特徴。洗濯しても色落ちや剥がれが発生しないので、スポーツユニフォームやタオルに最適。対象の素材は「ポリエステル」に限定されます。衣類以外にもマグカップやフォトプレートなどのグッズ製作にも使われます。通気性や発汗などの機能性重視のウェアにおすすめです。

5.「昇華プリント」

●特徴:生地の風合いそのままにフルカラーでデザインを表現できます。
●仕上がり:繊維を染めるので通気性が抜群。色落ちの心配もほぼありません。
●向き:ポリエステル素材のタオルやスポーツウェア、総柄のデザインに。

ピンクのクマのイラストが昇華プリントされたマグカップとハンドタオル
色落ちしない昇華プリント。ポリエステルコーティングされていればマグカップなどにもプリント可能

キャップやバッグのアクセントに。シンプルなロゴも刺繍ならぐっと引き立ちます。

刺繍は知っている人も多いと思いますが、生地に色糸を縫い込んでデザインを表現する手法です。プリントにはない立体感と高級感が特徴です。衣類の加工はもちろん、キャップやバッグなどにもよく使われます。アイテムに直接刺繍をいれるだけではなく「刺繍ワッペン」を作っていろいろなアイテムに付けるのも便利でおすすめです。「パンチデータ(刺繍用型データ)」が必要になるので小数製作にはやや不向き。細かい表現には限界がありますが、プレミアムな印象の仕上がりはブランド価値を高めるには有効な選択肢です。

6.「刺繍」

●特徴:カラーバリエーションが豊富で幅広いアイテムに加工できる。
●仕上がり:糸特有の光沢感と、凹凸のある立体的な質感が高級感を演出します。
●向き:各種衣類はもちろんタオルやキャップのワンポイントなど。

Factory antにある刺繍専用ミシンで白いロゴを加工されている黒いパーカー
プリントとはひと味違った表現やワンランク上の質感を求めるなら「刺繍」の選択も

「どれがいい?」を決めるのはデザイン・製作枚数・コスト、そして仕上がりのバランス

ここで少し難しいのが、どの手法が「ベスト」かは製作の条件によって変わるという点です。できあがりの質感やデザインの再現性、避けては通れないコスト感などいろいろな要素が複雑に絡み合って最適な手法が絞り込まれます。

「写真やグラデーションをそのまま表現したい」のか「パキッとしたロゴを際立たせたい」のか。デザインの細かさやプリントするサイズによってもプリントの加工方法が変わります。

「インクがのった重厚な質感」が欲しいのか、それとも「生地に馴染んだ柔らかな手触り」を重視するのか。あるいは刺繍や発泡プリントを使った「立体感」か。肌触りや見た目の印象も、こだわった「自分のブランド」のとても大切な判断基準になります。

「10枚ならこの方法、100枚ならあの方法」といった具合に、枚数が増えるほど1枚あたりの単価が下がる加工方法もあれば、枚数を問わずコストがあまり変わらないプリント方法もあります。

こだわりたいデザインや仕上がり具合と製作枚数のバランスの、どこで予算の折り合いをみつけるのか。検討すべき大切な要素です。

これら全てのバランスを考えるのが、オリジナルプリントの難しいところであり、面白いところでもあります。この各プリント方法をなんとなく理解しておくだけでも、自分のイメージする理想の服作りの迷いや悩みをぐっと減らすことができるようになりますよ。

Factory antでプリント加工されている白いTシャツ
Factory antはファクトリー併設のショップだから幅広い加工法のアドバイスができます

迷ったらまずは相談。理想の「1着目」を一緒に作り上げましょう

「自分のブランド」をはじめるのは少し複雑で、最初からすべてを理解するのは難しいと思います。シンプルな素材の「Tシャツ」ひとつ選ぶのにも、どのメーカーを選択するのか、使われている素材や厚さ、シルエット、色、仕入れ価格などたくさんあるTシャツの中から「自分のブランド」に最適な最初の1着を見つけ出すも大変でしょう。しかもデザインや素材、製作枚数で最適な加工方法が変わってしまうし……。何が最適なのか見当がつかないと思います。

Factory antでは、「こんな感じにしたい」というイメージの段階から相談を受け、形にするお手伝いしています。町田のファクトリーには、アイテムのサンプルやインクの見本、生地や各種素材サンプルも用意しています。オンラインだけでは伝わりにくいニュアンスも、対面で話すことで解決できることがたくさんあります。

また、Factory antは各種「衣類のプリント加工」はもちろんですが、デザインからパターン(型紙)の製作、そして縫製加工までの「本来のアパレルアイテム」を形にできる「アパレル製作スタジオ」です。「本格的なアパレル製作」は難しいけど、プリントアイテムより、もう少し手間をかけた「リメイク」や「ダメージ加工」などの「カスタム」にも対応します

服作りの工程を知っているから既製品のオリジナルプリントから始めて、将来はデザインからパターンに起こして縫製する「フルオーダー製作」へステップアップのお手伝いもできます。ブランドの成長に合わせた最適な提案をします。小さくても本格的なブランドの立ち上げはもちろん、お店のスタッフウェアやチームTシャツといったご相談も受け付けています。「これがつくりたい」を形にしましょう。一着の服に命を吹き込む「最初の一歩」を町田のファクトリーで一緒に踏み出しましょう。

高品質なアイテムをそろえている国産メーカーのカタログ
素材としてひとつのTシャツを決めるのも意外と大変な作業であり、楽しいところでもあります